乳房炎の早期発見方法~健康な生乳は健康な牛から~

酪農で気を付けなければいけない病気に、乳房炎があります。
今回は、目に見えづらい経済損失の一つである乳房炎とその早期発見方法についてご紹介します。
乳房炎の種類
乳房炎には臨床型と潜在型という2つの種類があります。
臨床型乳房炎とは乳房の腫れや熱感、体温上昇など肉眼で異常がわかる乳房炎です。
潜在型乳房炎とは目で見たり、触れても異常が分かりませんが乳汁を検査すると、
乳房炎原因菌が存在し、体細胞数が増加しています。
症状が非常に軽いため、見落とされがちですが、乳成分や乳量は下がっており、
乳房炎の経済損失の70%がこの潜在型乳房炎と言われています。
また、潜在型乳房炎は放置すると臨床型乳房炎へ移行するため、潜在型のうちに早期発見して治療することで
治療期間を短縮し、乳量低下を防ぐことができます。
乳房炎の発見方法
それでは、一見健康そうに見える牛の中からどのようにして乳房炎を見つけ出せばいいでしょうか?
農家さんがご自分でできる方法が4つあります。
①乳房に触ってみる
腫れや硬結、熱感をチェックします。
②ストリップカップで前搾り乳を観察
前搾り乳にブツ(凝固物)が混ざっていないかを確認します。
③CMT変法
一般的にP.Lテスターという簡易診断薬を使われています。
乳汁と簡易診断薬を1:1で混ぜて色と凝集具合を確認します。
色が緑色になるほど、凝集が多いほど体細胞数が高いです。
④乳汁の電気伝導度を調べる
機械で乳汁の電気の流れやすさを測定する方法です。
①~③は実施している方は多いと思います。
④の電気伝導度とは,電気の流れやすさの程度のことを言います。
乳房炎になると、血液中の電解質が乳汁中に移行するため、乳汁に電気が流れやすくなります。
中学校の理科の授業で「純粋な水は電気が流れづらいけど、食塩を混ぜると電気が流れやすくなる」と
学んだ方は多いのではないでしょうか?
それと同じ原理です。
電気伝導度の計測ツール ~ミルクチェッカー~
電気伝導度は簡単で素早く測定でき、数値として記録を残せることから、
最近では搾乳ロボットや一部のパーラーに測定機能が付属していることがあります。
つなぎ牛舎のパイプラインミルカーで搾乳されている方でも
ミルクチェッカーという電気伝導度計を使えば簡単・迅速に測定することができます。

①簡単
本体のサンプルカップに乳汁を入れてTESTボタンを押すだけで
電気伝導度が測定できます。
②迅速
TESTボタンを押してすぐに測定結果を表示されます。
③高い再現性
同じ乳汁を繰り返し測定したときの測定結果のブレが非常に小さいです。
④ハンディタイプ
片手で扱えて持ち運びに便利です。
⑤判定結果がわかりやすい
異常乳の場合は表示された数値が点滅します。
ミルクチェッカーは当店でも取り扱っておりますので、興味がある方はぜひチェックしてみてください。
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